2008年10月29日水曜日

「シッコ」を通して思うこと

「シッコ」。
これ日本語ではありませんよ。
「Sicko」 アメリカのスラングで「変人」といった意味。
「SiCKO」 2007年6月に公開されたマイケル・ムーア監督の
ドキュメンタリー(コメディー風味あり)映画です。

先日、自宅で見る機会があったので、
布団をテレビ前に移動させて(体調が悪く寝込んでいたため)、
寝転がって見ていました。
内容は・・・
マイケル・ムーア監督得意の皮肉にとんだ社会風刺。
アメリカにおける医療保険業界の問題点に焦点を当てたもの。

アメリカでは医療保健未加入者が約5,000万人。人口の2割程度。
 ⇒手指切断(中指・環指)で中指の接合には6万ドル、環指の接合には1万2千ドル。
  「さぁ、どうしますか?」と患者に問いかける医療機関。
  結局 経済的理由から1万2千ドルの環指を選択した患者。
  この時点で日本人の私は唖然

保険に加入していても、あらゆる手段を講じて保険金の支払拒否によって治療を受けさせない保険会社。このため、保険会社の利益は半端じゃないです。
 ⇒生きるために必要な骨髄移植を「実験的」だと拒否し、
  患者を死へと至らしめる保険会社。
  唖然としていた私は呆然

そんな医療保険会社と癒着したり、取り込まれた政治家(ヒラリー・クリントンが代表的)という構造を暴き、崩壊に瀕している状況のアメリカ医療制度に対して、イギリス、フランス、カナダ、仮想敵国であるはずのキューバなどの医療制度と対比させる内容。
 ⇒「9.11」テロで救出作業に当たって気道・肺に障害を負った消防士は結局
  キューバで治療をしてもらっていました。
  世界の中心で、裕福なはアメリカで生まれたはずのアメリカ人が母国で十分な治療を受けられず、
  仮想敵国であり、民主主義に敗れたはずの社会主義国家キューバで治療を・・・・・
  イデオロギーの対立って一体なんだったのかな、と思いました。

医療に携わるものとして、
ちょっと視点を変えてみました。

医療保険会社が治療の可否、方針、回数、期間をきめるアメリカ。
こういったことは日本の理学療法士にも良く知られていたことです。
このような厳しい(?)医療保険会社がありながら、
開業権を有し、今も治療を行っている理学療法士がいる国 アメリカ。
実際にアメリカに行った理学療法士に聞くと、
本当に技術レベル(診断・評価・治療・ホームエクササイズなど)が高いそうです。

こんなアメリカの現実と我々日本の理学療法士のおかれている環境を考えると
いろんなヒントが隠れているみたいですね。
まだまだ やれることはいっぱいありそうです。

「暗いくらいと文句を言うのではなく、
       自分で明かりをつけましょう。」
                   言い人知らず

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